界面動電現象研究会 サマースクール

−微生物とコロイドのソフト界面−     の実施について

 

私たちの研究グループでは、2003年の「土のコロイド現象」の刊行以来、毎年サマースクール「土・水・生命環境とコロイド界面現象」実施しておりました。サマースクールでは、毎回例題的にテーマを定め、コロイド界面科学の有効性を学術的な基礎事項から工学的実務や生態系における応用問題に至るまで、研究室の枠を超えた多角的な交流を通して学んできました。運営においては権威に毒されない素朴な疑問を持つことやそれに丁寧に応えること、失敗を恐れない雰囲気を作りだすことで活発な意見交換がなされることを目指し、ひとつのルールとして「The first question must be done by student」が提案されていました。特に2007年に行われたサマースクールでは、微生物学の野村暢彦先生に協力いただき「微生物活動とコロイド界面現象」を主題に実施し、70名を越す大勢の参加を得る活動になりました。しかし、その後、国際会議IAP2008の実施などに伴い関連するセミナーが頻繁に実施されるようになったため、特にサマースクールとしての独立した活動についてはしばらく中断しておりました。

本年の311日に東日本大震災が発生しました。私たちのグループでは、当日、界面動電現象研究会主催の国際ワークショップ「コロイドの凝集と沈殿現象に関わる界面動電現象」を実施しておりましたが、被災によりこの企画のプログラムは中止を余儀なくされました。国際ワークショップを計画したひとつの目的のひとつに、来年の5月に筑波大学で実施が予定される「第10回界面動電現象に関する国際シンポジウム(The 10th International Conference on Electrokinetic Phenomena ( ELKIN2012))」に向けた連帯の強化がありましたが、被災によって多くの留学生に参加いただいたポスタセッションなどを含むELKIN2012に向けた交流の実施を断念せざるを得ない状況となりました。この状況を払拭し、挽回するひとつの試みとして、本年サマースクールの実施を呼びかけたところ、皆様から賛同を得ることができ、界面動電現象研究会としてサマースクールを実施する運びとなりました。

十分な議論を経ずして、企画をスタートさせたにも関わらず、今回の企画に対し野村暢彦先生、楊英男先生、小川和義先生、市川創作先生、王碧昭先生、吉野邦彦先生から理解と協力をいただき、テーマをELKINに配慮していただいた形で「微生物とコロイドのソフト界面」と決定させていただくことができました。微生物と界面については、様々な観点からのアプローチがありますが、今回は表面間の長距離相互作用を中心に基調講演の講師をお願いし、その観点から考察を深めたいと考えています。また、サマースクールに参加する大学院生の大半が、界面動電現象に対して馴染みが多くないので、界面動電現象研究の解説を小林幹佳先生にお願いしました。

講師を快諾していただきました大島広行先生、堀克敏先生、石田尚之先生、ポスター発表に参加いただきました皆様、準備に協力いただきました研究室諸氏にお礼申しあげます。尚、今回のサマースクールの一部は基盤研究A「農業・水環境におけるコロイド界面現象の工学的体系化」の活動の一環として実施します。


2011827

                    界面動電現象研究会サマースクール 実行委員会

                                         代表 足立 泰久